袋井（ふくろい）菓子　マドレーヌ屋 ラウンドテーブル

　村上春樹氏の名言の一つにこんな言葉がある。「小確幸（しょうかっこう）」、小さいけれど確実な幸せという意味だ。宝くじが当たったり世界がひっくり返るほどの大ラッキーなレアな出来事を求めて一喜一憂して生きるよりも（それは往々にして起こらないから）、〝ココに行けば私は確実に幸せになっちゃうモン〟という、「小さいけれど確実な幸せ」を集めていくほうが素敵な人生じゃないの、という考え方だと僕は理解しているのだけれど、このラウンドテーブルはその「小確幸」を体現したような店だ。小さな店だし、どこにあるかは知っている人にしかわからない。でも、袋井の本物を愛する美味しい物好きな人はみんな知っている。
　 一九八八年から約三十年続くこの店のマドレーヌには、食べた人を「うふふ」と笑顔にしちゃうチカラがある。「こんな店があるって袋井すげえよなぁ…」とパンを食べにフランスに通うカメラマンがしみじみつぶやいた。へへへ、いいだろ。

いつも多めに買うのだけれど、家に帰ってみると「もう少し買っておけば良かった」と思ってしまう。