外国人のお客様と全国を周っていますが、「魅力的な観光地」には共通した要素があるように思います。主な三つを挙げます。
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1)観光スポットそのものに大きな歴史的、文化的価値がある。
2)①ほどメジャーではないが、そこでできる「体験」などに価値がある。
3)「地域全体」で観光客を受け入れようという地元の人々の姿勢がある。
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①は世界遺産や国宝などで、それを見るために放っておいても人が来る場所。これは圧倒的な強みですが、後から作ることはできないため、特殊なスポットです。
②は京都での「座禅体験」、秋葉原での「メイドカフェ体験」など幅広いです。温泉もそうです。いずれも地域に関係のある体験をすることで、付加価値をつけているもの。
③は黒川温泉のように、温泉地は数多くある中で、「入湯手形」を作って入浴時間や土産物屋を開ける時間を統一し、客が楽しみやすくすることで「地域全体でもてなす」姿勢が感じられる例です。
掛川は、②と③が当てはまる観光地として大きな可能性があると思います。何といっても「茶どころ」ですし、個人的には「抹茶を飲む」だけでなく「畑に行って茶摘みや農法を学ぶ」ところまでできたらいいと思っています。『掛川36景』の冊子にも載っているように、バラエティーに富んだ場所が数多くあります。また東海道にあり、富士山も近く、新幹線の駅もあるという「立地の良さ」もメリットです。あえて個々のスポットは挙げませんが、掛川にはお客様のニーズによって訪問場所を選んでツアーを組むには、十分な選択肢があると思います。
また、強い印象を受けたのは、「報徳思想」に基づいて「生涯学習」(あえて「生涯教育」ではなく)が奨励されていることや、「未来志向のまちづくり」です。目には見えませんが、各スポットの背景にある思想は、掛川の特徴と言えると思います。
また③はとても重要だと感じているのですが、実は全国でもなかなか見られません。「隣の店(や町)に行かないでこっちに来て」というところの方が多いです。これは観光客にも悪い印象を与えます。しかし、掛川では案内していただいた際にも「掛川を愛する心」と「いいところを紹介したい」という気概が感じられましたし、リーダー的存在の方の連携も感じました。新幹線の駅舎建設の話などにも、報徳思想によるものでしょうか、「芯」が感じられるまちだと思います。まちの「雰囲気」は外国人にも伝わるものです。
最後に、掛川に限らず全ての地域の方々に期待したいことですが、「日本の掛川」として他地域と連携して付加価値をより高めていっていただきたいと思います。まずは「日本」を選んでもらわなければ、掛川にも来てもらえません。そういう視点を常に持って「チーム・ジャパン」として日本を紹介することが大切だと思います。
掛川の観光地としての益々の発展をお祈りいたします。
篠山 美智子