原 大介
静岡県水窪町出身で札幌市在住の僕が、豊頃町からのゲストを対象として行われた掛川のモニタリングツアーに参加させていただきました。当日は寒波の影響で気温は最高4度・最低マイナス4度。ふだん静岡側のホストから「静岡の冬は暖かい」と聞かされている豊頃の皆さんも「寒い」とびっくりしていました。
●掛川城・御殿を見学
●二の丸茶室
●東山 世界農業遺産茶草場ツーリズム体験
●昼食 のら弁(東山いっぷく処)
●キウイフルーツカントリーJapan 意見交換会
今回のモニターツアーはただのツアーではなくて『交流型』と銘打たれていました。その土地で生活を営む人だからこそ分かることをたくさん教えてもらいました。外から観光に来ただけでは何気に通り過ぎてしまいそうなちょっとした風景の中にもいろいろな物語があり、歴史があり、文脈があり、想いがあり、それらを紐解いて伝えてもらえるのは今回のようなツアーのいいところだなと思いました。
豊頃の皆さんの様子を見ていると、掛川をガイドしてもらいながら同時に自分たちの町のことを考え、これまで気づかなかった自分たちの町の特徴や魅力を見つけているようでした。掛川の風景や歴史や体験に触れながら「豊頃ではこうだね」「豊頃ではああだね」そんな言葉もよく耳にしました。
そんな様子から、交流型というのは外の土地を知ることで自分たちの土地を知ることなのだなと思い至りました。ツアーが終わった時には相手の土地を知ると同時に自分たちの土地に対する理解も深まっているし、あるいは自分たちの土地のことをどれだけ知らないかが分かる状態になっている。そして同じことはガイドする側にも起こっているはずです。ツアー参加者からのいろいろな質問に答える中で様々な発見があるのではないでしょうか。意外なものへの意外な反応に「当たり前の日常」という概念が変容しないはずがありません。「交流型」の真髄は「学び合う」ことなのだと思いました。
『交流型ツーリズム』を通じて交わった掛川と豊頃の関係が、あるいは掛川から広がって「静岡」と、豊頃から広がって「北海道」の交流が、今後どのように発展していくのか楽しみです。
山田 良則
北海道の東部に位置する町「豊頃町」から、初めて掛川市を訪れました。北海道で一番寒い時期に掛川市に行けるということで楽しみにしていましたが、なんと何十年ぶりの寒波が静岡を襲っており、ちょっと出鼻を挫かれた感がありました。
しかし掛川駅を降りて、周辺を見渡せばヤシの木があり雰囲気は南国。
私たちが今回掛川市を訪れた目的は、北海道豊頃町の農産物などの特産品を静岡の方に食していただき知ってもらうためのPR活動。しかし、この時期に本町の主力となる農産物や海産物はほとんどない中、私と一緒に参加した方々の協力で、何とか北海道らしい物を店舗などに陳列することが出来ました。
そこで、今回私が感じたのは、日本全国どこにでもある「馬鈴薯」「牛蒡」などが、北海道産ということだけで売れていたこと。単にイメージだけでも、北海道の馬鈴薯は美味しいと感じていただいている方が数多くいることに気づかされました。
私たちも、静岡と言えば、当然「お茶」をイメージする。やはり飲んで美味しいお茶は静岡産と感じる人が全国に多くいるからです。北海道は歴史が浅いので歴史感溢れる「掛川城」、傾斜地を利用した「茶畑」の風景など、私たちのまちにはない魅力を感じさせられました。しかし同じように本州から北海道を訪れた方々は、広大な土地を利用し、大規模に耕された農地や、手付かずの自然を見て感動しています。
私は、今回掛川市を訪れて、掛川市の良いところばかりが印象に残っています。よく北海道の人はおおらかで人が良いといわれますが、私が掛川市で出会った方々は、それをはるかに越えていて「報徳の教え」が掛川市民の人づくりに役立っている表れだと感じました。
是非とも、また掛川市を訪れてみたいです。
島 昇之
我が町豊頃町には、二宮尊徳翁の孫である二宮尊親先生が現在の福島県から一団を率いて入植し、原野を開拓され、現在も脈々と報徳の教えを実践している「二宮」という地区がある。掛川市には、「大日本報徳社」があり、古くからの「報徳の教え」つながりにご縁を感じながら今回初めての掛川訪問となった。
滞在初日に鰻を食べにいくことになり、ホテルのロビーで迎えを待っていると「その鰻屋さんなら私が案内しましょう!」と言ってくれるお方が。その方は、東京学芸大学の鉄矢先生であった。先生の教え子たちが参加している「ひかりのオブジェ展」の最終日で、駅前から掛川城を結ぶ通りに、多くのオブジェが並んでいた。鉄矢先生から、学生たちの作品の解説やこの事業の概要を聴く。
街なかの商店と学生たちが協力・交流をすることで新たな賑わいを創出しようとするこの取り組みは16回目をかぞえ、学生たちにとっても掛川の人びとからの期待があり、モチベーションもあがって達成感も非常に大きいとのこと。「なるほど。やはり、町づくりは人づくりであるというのは本当だな。私たちの町にも参考になるな」などと考えなら歩き、ふと見上げたところにライトアップされた掛川城を発見!白壁がくっきりと映えた姿・美しさにしばしみとれる。日本で現存する城郭御殿はここ掛川城を含むたった四箇所しかない。これはやはり、掛川市民の誇り、シンボルであろう。
鉄矢先生からいろいろな情報を提供され考えさせられたあのひと時は、まさに「ぶらタモリ」ならぬ「ぶら鉄矢」であった。鉄矢先生、その節は大変お世話になりなりました。ごぼうをリュックサックに差して新幹線に乗り込んだ、あなたの姿を忘れません。
今回、掛川市での交流型ツーリズムでは、掛川城、大日本報徳社、茶草場農法体験、キウイフルーツ農園など、北海道では体験できない風景・景色や古い歴史を学んだ。それぞれのガイドの地元愛にあふれた説明は丁寧でわかりやすく、力量に感心させられた。我が町で体験型ツーリズムの確立を目指すためには、地元ガイドの育成が重要であり、今後の課題であろう。今、掛川と豊頃のあいだで「体験型ツーリズム」と「互産互消(お互いの生産物をお互いの地で消費しあう)」をからめた相互交流事業を取り組み始めている。より多くの人と人との『交流』から『物流』が生まれ、お互いの地域が潤う、そんな関係に大きく発展していくことを望む。
雪が溶けはじめたばかりの「豊かなところ豊頃町」から、桜が咲き始めたであろう遠い掛川を思う。「ひとたび・ふたたび・掛川」このキャッチコピーどおり、ひとたび訪れたなら、もう一度再訪したくなる魅力的な場所・人々が、確かにここ掛川市にはあった。
最後にフォーラムの講師であった後藤健市氏の言葉をお借りして締めたい。「大人が夢を語らなくなったら、子どもたちは、夢をみなくなります。だから皆さんどんどん夢を語りましょう!ウィンウィンという言葉がありますが、この言葉の陰では誰かが負けています。だから私はこの言葉は好きじゃない。これからは、お互いが幸せになりうるハッピーハッピーでいきましょう」いいね!!
森 喜美江
東海道新幹線の「掛川駅」を出るとシンボルの「掛川城」。日本で「お城」(チャシを含む)と名の付くところは3万か所もあると言われているのに、十勝・豊頃には小さなチャシが2、3カ所ある程度なので日本の象徴とも言うべき「城」には魅力を感じる。存在・造形・威圧等どれをとっても私の好きな光景です。
「お城」のある街並みは風情があって、心落ち着く街。さばさばしたところが無く、しっくりくるというか悠長と言うか誰からも愛される街の空気が何とも言えず、二度三度と足を運びたくなる街の一つである。
世界遺産にも登録された「茶畑」。山々一面にお茶の木が植えられ、暖地ならではの心和む風景も素晴らしい。お茶を愛飲する習慣が健康を守り、心の健康も育むのかな。お城を眺めながら薫り高いお茶で一服。日本人で良かった!とっても幸福な気持ちになれます。
そして、〈人が温かい〉。掛川には数回訪れているがどなたに接しても親切で温かい。今までのそれより強く感じるものがあり、私にとっては第2の故郷的な温かみを覚えずにはいられない。
掛川の街人は、皆が真剣に「街の在り方」を考え、行動し、生活の中に生かされているのは素晴らしいと思う。むしろ、羨ましい…かな?
「報徳の教え」がライフスタイルと相まってしっかりと根づいている気がします。日本の歴史をひしひしと感じられるとっても温かくステキな街、掛川。良いところです。